ヨガの目的は心の止滅、三昧(サマディ)

“私たちは、永遠不滅で形の無いプルシャ(意識、気づき)と、プラクリティ(根本的物質)の生み出した心(チッタ)と一体化してしまう傾向にある。ここにすべての苦の原因がある。
この一体化を離れ、プルシャのみが独立し、心のはたらきが止滅した状態がヨーガの目的であるサマーディと呼ばれるものである。”

プルシャとプラクリティからなる二元論を前提とした難解なサーンキヤ哲学を元に4世紀頃パタンジャリが書いた瞑想の経典「ヨーガ・スートラ」は、あまりに難解です。

ですが、こういった哲学や理論を実践とともに学ぶことはとても大切なことです。理論だけではダメ、実践だけでも意味が無い。その両方を学んでこそ真実がわかるのです。

ヨーガ=結ぶ、軛(くびき)をつける、心を統御する
※ヨーガとは、アサナ(ポーズ)をとることだけを指すのではありません。戒律を守る、瞑想をするということも含まれます。

ヨーガ・スートラによれば、ヨーガの最終目的は、「サマディ:心のはたらきを止滅する」ということです。

“心は、対象を引きつけ、間違った印象を引き起こす。対象や思考には、色、形、構造、特質があり、それら対象を映し出す気づきがこういう性質を持つものとして誤って認識されてしまう。これが人間の不幸と苦しみの原因である。”

人は、それぞれが昔から無意識・不注意に積み重ねてきた「潜在印象」によってものごとを見、判断、反応しています。つまり私たちの言動や生き方は、それぞれの「思い込み」や「勘違い」「妄想」によって支配されているということになります。私たちはものごとをありのままに見ることができないのです。それが不幸や苦しみの根源である、ということなのです。

ある「対象」を見て、人の持つ印象は違いますよね。例えば、テレビに出てくる女優さんを見て、その人とは会ったことも喋ったこともなく、実際はどんな人なのか分からないのに、「なんかこの人好きじゃない。」とか「えー、私はすき。かわいいやん。」とか「性格悪そう」とか「目つきがいやらしい」とか、「あんな風になりたい!」とか、みんな勝手なことを言いますよね。笑
それらはすべてそれぞれの持つ潜在印象・潜在意識、煩悩に影響を受けており、そんないい加減なものを「自分の考え」として周囲にまき散らしているのです。

分かりやすい例として「トラウマ」があります。過去のトラウマによって、過去とは関係のない現在に影響が出てしまうというのはそういうことなのです。国と国との争いも同じです。過去の歴史によって恨みや憎しみが深く刻まれた潜在意識が、ネガティブな心の反応(嫌悪、渇望)を生み出し、戦争が起こるのです。

心を止滅させた状態を作り出すことによって、「潜在意識」とそれに影響を受ける「心」を客観的に観察して切り離すことができ、ものごとの正しい姿を見ることができる、ということなのです。

そして、心の止滅は、瞑想によって可能となります。実践するのは難しいですけど、どんな人でも決して不可能ではありません。正しい方法で真剣に一所懸命トレーニングすれば、徐々にできるようになります。

無知であることは、目隠しをして車の運転をしているのと同じこと。それじゃあ、事故に遭うのは当たり前。ちゃんと目隠しを外して、安全運転をしましょうよ、ということなのです。

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