意識し続けること

ヨガの目的が「サマーディ(心の止滅)」ならば、私たちはどういうつもりでアサナ(坐法・ポーズを取ること)を実践すればよいのでしょうか。

アサナの実践は体操競技ではありませんから、身体の柔軟性だとか、筋力だとか、どれだけ美しくポーズを決めるかとか、どれだけ難しいポーズができるかとか、そういったことは、全く重要ではありません

肝心なのは「集中すること」なのです。

では、どういった時が集中している時なのでしょうか。

あるポーズを完成させる過程で「手の指先はこうで、目線はあそこ。右足はこうで、左足はこう。下腹部を背骨の方に引き上げて、呼吸を力強く・・・」。ひとつのポーズでも気をつけることがたくさんあります。

はじめのうちは、それをひとつひとつ丁寧にしようとして頭の中はとっても忙しい・・・。ですが少なくとも、ポーズをとることには集中しており、今夜の晩ご飯について・・・といった雑念は浮かんでないはずです。

そして、段々とポーズのポイントを身体が覚え、考えずともできるようになってきます。そうなった時に、ただポーズを流すだけで、頭の中では今夜の晩ご飯のことを考えていては何の意味もありません。常に、それぞれのポイントができているかどうか、部分毎に意識を置いて観察してみます。あくまでも「考える」のではなく「感じる」だけです。
“Dont think,feel.”です。そうすればその瞬間は、頭の中でポーズについてアレコレ考えているわけでもなく、もちろん晩ご飯のことも考えてはいない。ただ「今この瞬間の現実」をしっかり感じとっているだけなのです。

つまりそれこそが「サマーディ(心の止滅)」なのです。

とはいえ、そう簡単に集中できるものでもありませんよね。その日によって、身体の調子も心の中の調子も違うでしょう。何か嫌なことがあった日に、ついついそればかりが頭を駆け巡って「ああでもない、こうでもない、、、ああ、全く集中できない・・・。もう今日はいいや。」なんてことはよくあることです。

どんなに雑念が浮かんできても落ち込むことなく、むしろそんな自分を「あらあら」と客観的に見つめ、何度も何度も身体に意識を引き戻すことを続けていれば、一瞬だけでも集中できる時がやってきます。それを何度も繰り返すうちに、集中できる瞬間は増えていくはずです。長い間集中しているのならそれはまさに瞑想状態にあると言えます。

私たちはただのストレッチ運動をしているのではなく、ヨガをしながら日頃の雑念を取り払い集中する練習をしていると思えば良いのではないでしょうか。

もう一度言いますが、ポーズを完成させることが目的ではありません。ポーズを完成させようとする過程において「意識し続けることで集中すること」が目的ですから、たとえヨガの初心者であっても可能なことです。
「まだ簡単なポーズしかできない」
いいんです。目的さえしっかりと理解していれば、それで十分練習ができます。今の自分のレベルを人と比べる必要もありません。重要なのは、ただ自分が「今、集中できているか」どうか。そう思えば、なんだかもっと良い練習ができるような気がしてきます。みなさんは、どう思いますか?